何処を通すのかで揉めに揉めている北陸新幹線延伸におけるルート問題。
このルート選択によっては、オオクワガタの生息域が破壊されてしまうという問題について知る人は少ない。

オオクワガタ 亀岡


黒のダイヤと呼ばれるオオクワガタ。
その稀少性については誰もが知る通りであり絶滅危惧II類としてレッドリスト入りしている。

そんなオオクワガタの日本一の産地と云われているのが北摂地方だ。能勢、川西、猪名川 -
北摂地方は伝統的な炭焼き産業によって、台場クヌギというオオクワガタの格好の住み家を提供してきた。
そんな、何十年という歳月を積み重ねて作りあげてきたオオクワガタの棲みよい環境が、いま危険に晒されている。

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上図が現在想定されている北陸新幹線延伸ルートになる。
注目していただきたいのが小浜(若狭)ルートと呼ばれるライン。
その他のルートが京都駅を経由するのに対して、小浜ルートは亀岡市に新駅を新設し京都市内を迂回してそのまま新大阪に繋げるという案。

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亀岡市と言えば、先日サッカースタジアムの建設が決まり開発が進んでいる地方都市だ。
亀岡市は国道9号線を根幹道路とし、その周辺を取り囲むように開発されてきた。
ここを新幹線が通るとなれば何れかの地点で国道9号線をぶった切ることになる。

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亀岡に新幹線を通す場合、スタジアム建設が決まり住宅街が犇めく亀岡市街地に新幹線架線を通すことは難しい。
田園地方で未開発の南丹市園部よりを通すルートが検討されることになるだろう。

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市街地を避け西側のルートをとる場合、その向かう先は北摂のオオクワガタ聖地エリアだ。

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最初に述べたように、北摂地方は炭焼きという産業により台場クヌギという副産物を生み出してきた。年月を経て成長した台場クヌギはオオクワガタの住み家となり、日本最大のオオクワガタ産地を作り出した。
ここを新幹線が通る時、それの与える影響は計り知れない。


亀岡市のスタジアム建設において問題となったのが、絶滅危惧種であるアユモドキの保全問題だ。アユモドキ保全を理由に反対運動が巻き起こり、結果として保全地域を設けることによってスタジアム建設が合意されたという筋書きがある。

では、この北陸新幹線延伸によるオオクワガタ保全問題はどうだろう。
調べてみたところ、メディアはおろか個人ブログ単位にまで掘り下げてみても、このことについて警鐘をならしている報道は見当たらなかった。まずはこの問題をより多くの人に認知してもらう必要がありそうだ。

次に、オオクワガタの保全方法を考えてみよう。オオクワガタ保全はアユモドキのそれと同じようにはいかない。
炭焼きという特殊な産業によって数十年の歳月を経て生み出された特殊な環境。その代替地を用意することは不可能であり、一度破壊されてしまうと終わりであることを示している。

実はこのエリアは既に、箕面トンネルを経由した阪神高速延長工事によってリアルタイムに少しずつ破壊が進んでいる。
ここを新幹線が通ることになれば、日本最大のオオクワガタ産地は失われることになるだろう。

一オオクワガタ愛好家としては、もちろんこのことには大反対である。稀少なオオクワガタの棲息域を壊すなんて言語道断。小浜ルートは候補から外してもらいたい。
反対運動とまではいかなくとも、このオオクワガタ保全問題を提起し、まずは多くの人にこの問題を認知してもらうことが先決だ。
現状、誰も知らないのであればルート選定による議題にこの問題は盛り込まれない。
決まってからでは遅いこの問題。選定前のこの時期にオオクワガタ保全問題として警鐘をならしておきたい。

ちなみに、亀岡市にも数多くのオオクワガタが棲息している。亀岡市を縦断し新駅を作るのであれば、これらのオオクワガタ産地もまた破壊されることを付け加えておこう。



P.S
北摂オオクワガタについては出版した『知られざるオオクワガタ』で触れています。
1990年代のオオクワガタブームから、北摂地方とオオクワガタの関わりも掘り下げて書いていますので興味のある方はどうぞ。